Hello from HPI

梅原 季哉(教授)


皆様こんにちは。このたび広島平和研究所に着任した梅原季哉と申します。この3月まで学生として在籍しておりましたが、改めまして教員として、よろしくお願いいたします。
もともと新聞社で30年以上にわたって記者として主に国際報道畑を歩みました。初任地が長崎で、その後も戦争と平和の現場をいくつも踏み、とりわけ核兵器問題に強い関心を持って報道してきました。3年前、アカデミズムへの転身を志した際、縁あって広島市立大学に入ったのも、被爆地・広島での研究活動に強く惹かれてのことでした。
博士論文のテーマは「戦後日本と非核規範」です。核兵器は広島・長崎以降は1度も実戦では使われていませんが、その背景に「使ってはならない/使えない兵器だ」という意識(核兵器不使用規範)が国際社会で共有されている、との指摘があります。被爆国である日本はいわば、その原点にあるといえます。しかし一方で米国のいわゆる「核の傘」の庇護を受ける日本政府は「核兵器はどんな時でも使ってはならない」と断言はしてこなかった、という状況もあります。こうした状況はどのようにして形作られてきたのか。ほかの非核規範、例えば核兵器を持たないという不拡散規範との関係にも照らしつつ、重層的な形で研究してきました。
2022年からウクライナに本格侵攻したロシアが核兵器使用の威嚇を行うなど、非核規範は残念ながら、深刻な揺らぎに直面しています。核兵器のない世界の1日も早い実現が望まれることは言うまでもありませんが、その前に「決して二度と使わせない」という最低線を保つ必要があります。アカデミズムとジャーナリズム、二つのキャリアを持つ立場で、微力ながら貢献していきたいと思っております。